去る8月16日、お盆の総仕上げとなる施餓鬼会とお焚き上げを執り行いました。
あわせて、檀家さんや地域の方々から託されたお人形やぬいぐるみなどの供養もいたしました。
無事お盆の棚経を終えることができましたこと、改めまして感謝申し上げます。
お盆の最終日になると、早朝から檀家さんがお参りくださいます。
今年は、上半期から大きな戦争が継続中です。
月輪寺では、今年のお盆の期間、ご本尊前で「東陶器村出身戦病死者英霊」と書かれたお位牌をお祀りしました。
金色のお位牌のため、お気づきになった方もいらっしゃったかもしれません。
このお位牌は、戦後まもなく、大戦で犠牲になった方々を奉祀するために当時の東陶器村村長の協力を得て、月輪寺に安置されたものです。
このお位牌と対になる東陶器英霊過去帳には、当時の東陶器村(今の北庄、西中、陶器北、福田、上之、隠、見野山、岩室など)の戦病死者約200名のお名前などが記されています。
昔からあるお寺の役割の一つとして、大戦の地域の記録を残し、過去の戦禍を語り継ぐことがあると思います。
お参りで伺った際も、戦争経験を話して下さる檀家さんがいらっしゃいます。
・旧高野街道を戦車が地響きのように行き交い、舗装が割れたこと
・当時の鉄道車両工場を狙った空襲の最後に、東陶器村にも空襲があり、被害がでたこと
・乳飲み子を抱えたまま、溝に伏せ、九死に一生を得たこと
・疎開先で食べる物に困り、怯えながら畑から作物を盗み、家族で震えながら分け合ったこと
これらは、私が戦争を生き抜いた檀家さんから教えてもらった戦争経験のほんの一部です。
過去帳に記された戦争で犠牲になった方々が経験されたことはもっと苛烈だったのでしょう。
戦前戦中にお生まれになった方は、総人口の約13%です。(2021年人口推計(総務省))
戦争をご経験された方、生き抜いた方々が少なくなる中で、地域の戦禍の記録や記憶を次の世代に引き継ぐこと、それを次世代の平穏な暮らしに活かすこと。
お寺が果たすべき役割は大きいように感じます。
来年以降も、お盆の期間、ご本尊前に金色の位牌をお祀りします。
是非、月輪寺本堂にお参りの際に、ご合掌ください。
住職 樫本叡学