梅と日本人の感性(2月17日)

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今年も境内の梅が綺麗に咲いています。

枝垂れ梅は、6分咲きくらいでしょうか。

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桜は日本古来からありましたが、梅は古墳時代に日本にもたらされて、奈良時代にブームになった花です。

ブームになったといっても、奈良時代にはまだまだ数が少なく、貴族階級の人たちが競って庭に植えて鑑賞していたと言われています。

その珍しさから、多くの歌が詠まれ、万葉集には梅にまつわる歌が約120首あるようです。

桜が約40首あまりなので、梅のほうが約3倍多く詠まれました。

もともとは、国外から持ち込まれた梅ですが、その歌には日本人の独特の感性で詠まれたものが多いようです。

例えば、大伴旅人は、次のように詠みました。

 

わが園に 梅の花散る 

 ひさかたの 天より雪の流れくるかも

 

今となっては、舞い散る花を天空から降り注ぐ雪に喩えることはよくあることですが、この表現は中国にはなく、大伴旅人の独自の発想だったようです。

日本文化には、もとを辿れば、外から持ち込まれたものもありますが、それを受け入れるにあたっては、日本人の感性と工夫が凝らされてきたことを知ると、日本文化の奥深さをより一層感じられるように思います。

このことは、私の大学院時代に行った研究とも少し関連しているので、また、改めて書きたいと思います。

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副住職 樫本叡学