世界に一つだけの花?(9月16日)

DSC00655
突然ですが、問題です。
これは何の花の実(種)でしょう。

正解は、「椿(つばき)」です。

 

以前、月輪寺に咲く様々な椿をご紹介しました。(→その記事は、こちら

それらの椿が今、実をつけています。

DSC00657

 

調べてみると、椿は他家受粉の花だそうです。

 

つまり、自分とは異なった株の花粉がめしべに付くことで実がなります。

 

植物には、自分と同じ株の花粉でも実がなるもの(自家受粉)と、異なった株の花粉で実がなるもの(他家受粉)があります。
自家受粉だと、自分だけで受粉できるので、効率的に種子ができます。
他家受粉だと、多様性に富んだ種子ができ、万が一の環境変化にも子孫を残せます。

 

どちらの受粉も良いところがあるので、どちらの方法も用いている植物もあります。

 

しかし、椿の場合は、他の株の花粉でないと実が出来ません。

 

椿は、蝶や虫がいない時期に開花するので、メジロなどの鳥によって受粉します。
メジロが、甘い蜜を求めて、様々な種類の椿の間を飛び回る中で、受粉します。

 

なので、例えば、親木が、ピンク色の花を咲かせる西王母(セイオウボ)だったとしても、そこになった実は、必ずしも親木と同じ花ではありません。

 

境内には、十数種類の椿が咲きます。

 

いわば、メジロが毎年、その十数種類の椿を掛け合わせているわけです。

 

さきほどの写真の実も、ひょっとすると新種、世界に一つだけの花かもしれません。

 

ちなみに、境内で一番大きな椿(下の写真)は、実生(種から発芽したもの)なので、何の種類なのか全く分かりません。
DSC05255
椿は、身近な花ですが、奥が深いです。

 

副住職 樫本叡学