金木犀の思い出(10月11日)

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10月に入って、一日の寒暖差も大きくなってきました。

また、日によっても気温差が大きくなってきました。

10月6日は、最高気温21.2℃。
10月8日は、最高気温29.0℃。

これほど、気温が違うと、体温調節もなかなか難しいですね。

さて、境内では、金木犀(キンモクセイ)の香りが、静かに秋の訪れを知らせてくれています。

人間は、面白いもので、普段は意識していなかったとしても、ある景色を思わず見たり、ある音を聞いたり、ある香りがするだけで、古い記憶が蘇ることがあります。

私は、金木犀の香りがすると、小学校での運動会をふと思い出し、懐かしい気持ちがします。

皆さんは、金木犀の香りで、どのようなことを思い出すでしょうか。
秋祭り、運動会、修学旅行など、さまざまあると思います。

いずれも金木犀が咲く9月下旬から10月初旬の思い出だと思います。

このような金木犀ですが、温暖化の影響もあって、開花が影響を受け、最近では2度咲きしていることが報告されるようになりました。(※)

金木犀は、通常、8月上旬に花芽が分化し、その後、50日程度で開花するそうです。

花芽の分化から開花までが50日というのは、他の樹木に比べて圧倒的に短いため、その時期の環境変化の影響を受けやすいそうです。

近年、温暖化の影響か、夏から秋にかけて、気温が下がらず、真夏のように暑い日があります。

このように秋なのに真夏日があると、金木犀は、9月下旬から10月初旬の開花だけでなく、10月下旬にもう一度咲く場合があるようです。

金木犀というと、体育の日までに咲くという印象ですが、もう少し温暖化が進むと、10月下旬の花もしくは文化の日(11月3日)を象徴する花になるのでしょうか。

私たちだけでなく、植物も気温の変動にどう対応しようかと模索しているのかもしれません。

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副住職 樫本叡学

※詳しく知りたい方は、下記論文をご参照下さい。
中島敦司ら(2011)「夏季から秋季にかけての気温がキンモクセイの開花に及ぼす影響」『日緑工誌』37(1),pp.26-31