境内では、ちょうど桃と桜がきれいに咲いています。
枝垂れ桜も、ちらほら咲き始めています。
梅から始まり、桃、桜と、春は境内が華やかになります。
同じような時期に、ピンク(紅白)の花が咲き、美味しい実がなる梅、桃、桜ですが、花びらの形と木肌の質感などで見分けるのが一般的でしょうか。
日本人は、ものごとをじっと見つめて、その本質を捉えることが得意だと言われています(※)。
日本文化の中には、自然をじっと観察したからこそできるものが多いように感じます。
俳句、家紋、和食、日本建築なども、自然に対する観察眼があるからこそできたものでしょう。
家紋を見てみましょう。
左から順に、梅、桃、桜の家紋の一例です。
梅の家紋は花びらが丸型、桜は花びらに切れ込みが入っています。
花びらの形の違いも、家紋に表れています。
それだけではありません。
桃は、花ではなく、実が描かれています。
梅と桜の本質的価値の象徴は花であり、桃の本質的価値は実にあるということでしょうか。
家紋だけとっても、先人の自然を見る眼差しに触れられるような気がします。
最後に、今、境内で咲いている桃と桜の写真を掲載したいと思います。
ちなみに、一番最初(左上)だけ桃です。
副住職 樫本叡学
(※ 参照文献;李御寧(2007)「縮み」志向の日本人 講談社学術文庫)